僕は没になったドローイングを捨てない。ノートの端に描いた落書きも取ってある。描かれた絵の大半は発表されることなく仕舞われる運命だ。どうせ人に見せることはないのだから捨てようするのだが、そのたびに「なんか面白い、この絵良いな・・」と愛着が湧いてきて捨てられなかった。そうして長い時を生き延びた絵たちは、紙の劣化と共に、描かれた理由や意味から解放されて生き生きとし始めた。僕はこの絵たちをランダムに繋ぎ合わせ、そこから自然と出てきたイメージを作品にし「Scrap Drawing」と名付けた。本来作品にはその時代の空気やアーティストの意思が表れるものだが、「Scrap Drawing」は様々な時代と意思の片鱗が散りばめられている。